ディクスン・カーのデザイナー名無し装丁(3)「絞首台の謎」の絵は何だ?
Posted on February 7th, 2014
最後の「デザイナー名なし」シリーズは、こちら、「絞首台の謎」です。
「絞首台の謎」
一瞬、同じ絵?と思いました。
単に反転させただけかな、と。
でも、そうではないことは、次の画像を見るとはっきりします。

これはまさに、表紙の絵の色を反転させたものです(windowsの「ペイント」を使っただけですが)。
こうすると、違うデザインだってことがはっきりしますよね。
こうすると、違うデザインだってことがはっきりしますよね。
建物・人物の基本的な配置は似通っていますが、それぞれの絵柄は異なっています。
そこで、この「元の絵はこうだったんだろう」と思われる画像を使って検索してみました。
しかし、芳しい結果は得られませんでした。
(同じような検索結果が得られない)
そこで、この「元の絵はこうだったんだろう」と思われる画像を使って検索してみました。
しかし、芳しい結果は得られませんでした。
(同じような検索結果が得られない)
では、「夜歩く」の時と同じく、下の女性だけを切り取ってみては?と準備したのがこの画像。

こう切り取ると、なんかおかしいですよねぇ。
本当に女性なのでしょうか?
検索の結果は、今回もだめ。
結論としては、この「絞首台の謎」だけは元の絵の詳細がわからないままとなってしまいました。
結論としては、この「絞首台の謎」だけは元の絵の詳細がわからないままとなってしまいました。
わかることは、こちらの絵は「夜歩く」に比べて、どうもまがまがしいデザインだぞ、ということです。
さっきの「女性?」の絵も顔が仮面をかぶっているようでおかしいです。
他にも、「夜歩く」とはデザインが対比的です。特に、上部のデザイン。
さっきの「女性?」の絵も顔が仮面をかぶっているようでおかしいです。
他にも、「夜歩く」とはデザインが対比的です。特に、上部のデザイン。
「夜歩く」の方では天使がいますが、


「絞首台の謎」で姿が見えているのは、悪魔ですよね、これ。

ヒントになりそうなのは、「夜歩く」の検索をしたときに出てきたページにあった、「(「夜歩く」に使われている絵は)ホルバインの標題紙デザインの中で最も有名なもので、何度も模倣された」という説明。

ヒントになりそうなのは、「夜歩く」の検索をしたときに出てきたページにあった、「(「夜歩く」に使われている絵は)ホルバインの標題紙デザインの中で最も有名なもので、何度も模倣された」という説明。
「模倣された」というのは、先の「魔女の隠れ家=死の舞踏」が、他の作者によって何度もコピーされていたことと通じるんでしょう。
ディクスン・カーのデザイナー名無し装丁(1)「魔女の隠れ家」 | -oldsogenbotの雑記帳-
ということは、この「絞首台の謎」の元の絵は、ホルバインのフォロワーによって、モチーフの一部を変更された作品ということなのでしょうか?
あるいはホルバインが、自分の作品のモチーフをパロディとして取り上げた別の作品?
答えははっきりしません…
※ただ、左上の悪魔の後ろ姿の下にかかるアクセサリー状のものに、書かれている"1523"の数字。これは「夜歩く」で使われていた絵柄の初出とされている、エラスムスのParaphrasis in Evangelium secundum Ioannemの発表年なんです。参照:ディクスン・カーのデザイナー名無し装丁(2)「夜歩く」の絵は何だ? | -oldsogenbotの雑記帳-もしかしてこの絵がそれなんでしょうか…?
結局、「絞首台の謎」については、誰か、美術史や宗教学史?に詳しい人がここを見てくれて、「それは、~ですよ!」と教えてくれることを願うしかない結果になってしまいました。
(もしわかる方がいたら、是非是非、下のtwitterボタンで教えてください!)
でも自分としては、前の二作品については明確にできたので、かなり満足しています。
ディクスン・カー作品で、デザイナー名が無い3作品の謎解きは、これにて(一部謎のまま)お開き。
ディクスン・カー作品で、デザイナー名が無い3作品の謎解きは、これにて(一部謎のまま)お開き。